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■ “変えなきゃ!議会” 共通改革目標 (ステップ1)

議会改革の課題は多岐にわたります。地方自治法という国法が議会という自治の機関の運営についても詳細に規定しているという制度のあり方そのものも大きな問題で、法改正によらなければ実現できない項目も多数あります。しかし、現行の制度のもとでも実現できることで、できていないことも多いのです。その一方で、すでに改革に意欲的に取り組んでいる議会ではある程度実現できている項目もあります。 わたしたちは、2007年統一自治体【→全国の自治体議員】選挙に向けて、まず、民主主義の広場としての議会の役割を果たすために必須の内容であり、かつ、現行制度のもとでも、議会の意思さえあれば実現できる項目の中から、代表制民主主義の原則に直接結びついたものを3項目選択しました。それを実現していくことを約束する議員が多く誕生すればすぐにでも実現できるはずの項目です。

ところで、これらの改革が実現されれば、何が変わるのでしょうか?

ひと言でいえば、政治の動きが、普通の市民の目に見えるようになります。そして、その政治の動きに対して、何か意見があれば、自分も当事者になれる機会ができます。地域での生活課題をめぐって、市民と代表者が、ともに当事者となって民主主義の広場で議論し、自治体運営について決めていける場をつくっていくことにつながります。そのような政治を実現していくことが、生活の安心が揺らぎ、地域の「自己責任」が問われるいま、自分たちの力で安心できる生活とそれを支える自治体をつくっていくためには、不可欠な課題となっているのではないでしょうか。

1.議員同士が責任を持って自由に討議する議会

 市民の多様な声を代表する議員が、自ら議案を提案し、自治体運営全般について討議し、地域の意思決定を行っていく場をつくり出すこと。自由な討議形式等の導入。

現在の自治体議会は、議案については質疑を中心として審議を行い、大半を占める行政提案の議案について、行政職員に対して質問をすることが中心になっています。これは賛否の意見の表明ではなく、内容についての疑問を質すことが趣旨であり、また、議員間のやりとりではありません。採決の前に行われる「討論」は、賛成か反対か、どちらかの立場に立っての発言であり、議員相互の討論という形にはなっていません。

議会活動のもうひとつの軸となっているのは、代表質問、一般質問という「質問」の時間です。これは会派を代表して、あるいは議員個人として、自治体運営に関する事項を行政に対して質問することで、議員による政策提案などの内容を含むことは多いのですが、議員同士の討議は行われません。

民主主義の広場としての代表機関の役割を考えるとき、多様な意見を代表する複数の代表者である議員が、相互に自由な立場で討議し、争点を明らかにし、意見の相違や共通点を確認し、よりよい結論にいたる過程を、市民の目の届く公開の場で行うことは必須なはずです。現在の議会の議事運営の中で、そのような場が設定されていないということは、議会の現状のもっとも深刻な問題点というべきではないでしょうか。

議員同士の討議があまり行われないひとつの理由は、議案のほとんどが行政提案であり、提案者との間のやりとりが中心にならざるを得ないということにあります。議員による提案や調査報告などがもっと盛んに行われるならば、自ずと議員同士で討議をしなければならない場面は増えてくるはずです。

また、議会日程の中に、議員同士が討議をする場を設定することも必要です。委員会による議案審査の中に、質疑とは別に議員同士の自由な討議を行う場を設定することも必要ですし、本会議のなかで、行政への質問ではなく議員同士で自治体運営全般について自由に議論を行う会議を設定することも望まれます。

【参照】

◎都道府県議会制度研究会報告
「議員同士による審査・調査による政策提案の方途を講ずる必要がある。議会の政策提言機能を発揮するためには、首長から提出された議案審査だけではなく、議員同士が論議し、決議等の形で首長に提言することが求められる。そのためには、議員同士の自由討議を本会議・委員会を問わず積極的に実施すべきである。」

◎栗山町議会基本条例
(議員の活動原則)
第3条 議員は、議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを十分に認識し、議員相互間の自由な討議の推進を重んじなければならない

2.市民も参加できる開かれた議会

請願・陳情をした場合の説明にとどまらず、一般的な議案の審議でも、市民が直接自分の声で発言できる機会の保証。公聴会、参考人招致等の手法の積極的な活用。

行政による市民参加の活用が広がるなかで、議会がバイパスされてしまうのではないかという反発が広がっています。しかし、代表機関としての議会にとって、市民の意見の表明の場となり、それを決定に反映していくことは、むしろその本来の役割というべきではないでしょうか。議会こそが市民参加のチャンネルになっていくことにより、市民参加と代表制の望ましい関係をつくっていくことこそが、今後必要な改革の方向です。

既存の制度のなかでも、公聴会や参考人招致など、議員以外の当事者や専門家が議会の設定した公式の場で発言し、議会審議に参加する仕組みが存在しますが、これまであまり積極的に活用されてきませんでした。まずはそれを積極的に活用しながら、市民が議案について意見を述べる機会を確保すべきです。とくに当初予算審議など、定例的に行われる重要議案の審議に当たっては、かならず市民の声を直接議会で表明できる機会を設けた上で議会の決定を行うことが必要です。

また、議会条例などによって、既存の制度以外の、もっと自由な形式で市民と議員が議場で討議できるしくみを設けることも効果的です。

【参照】

◎都道府県議会制度研究会報告
「議会の住民代表機能から、執行部とは違う視点で、より住民の意見を反映させることが求められる。そのためには、……外国の制度に見られるように参考人等とは別に、住民に行政の問題点などに対して委員会で意見を発表する機会を設けることや、専門家を委員会審査に参加させることも検討すべきである。」

◎ 栗山町議会基本条例
第4条3 議会は、常任委員会、特別委員会等の運営に当たり、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用して、町民の専門的又は政策的識見等を議会の討議に反映させるものとする。

3.積極的に情報を公開し透明性のある議会

本会議だけでなく委員会も公開を原則とし、議事録、議案関連資料等の公開、インターネットによる動画記録等により、いつでも市民に説明責任が果たせる体制の整備。議会としての報告会等の開催。

自治体議会が何をやっているのか、よく分からない。これが一般的な市民の実感ではないでしょうか。

定期的に「議会だより」が新聞に折り込まれてきたりしますが、議決した事項の概要と、誰が何について一般質問をしたかの抜粋が紹介されている程度です。少し読んでみると、おおむね行政が提案したとおりのことを承認したというのが普通です。議会があることによって、自治体運営に何が加えられたのかさっぱり分かりません。

最近では議会のホームページも徐々に充実してきて、議事録の公開が行われるところも増えてきましたが、その議事を進めていたときの議案資料が添えられていないので、読んでみても十分には内容が理解できないことが多いというのが残念ながら実態です。また、自分が選んだ議員が、ひとつひとつの議案についてどんな賛否の態度をとったのかについても、一部の議員が議会活動報告で伝えている以外、公式の情報は公開されていないことがほとんどです。

議事録だけではなく、提案された議案についてはできるだけ早い段階(審議が行われ結論がでる前の段階)で公開すること。議案に対する議員の賛否情報は公式に公開すること。インターネットによる動画記録の蓄積配信等によって、時間と距離の制約から自由に、市民が実感を持って議会活動に触れることのできる機会を保障していくことが必要です。

個々の議員による議会活動報告は、個別に、また熱心に行われています。しかし、議会という代表機関全体として行ったことについて、市民に説明責任を果たす場はほとんど設定されていないのが現状です。議会という機関全体の立場から、市民に活動状況を報告し、それに対する市民の質問を受け、市民の意見を聴く場を、議会として設けるべきです。

【参考】

◎栗山町議会基本条例
第4条6  議会は、重要な議案に対する各議員の態度を議会広報で公表する等、議員の活動に対して町民の評価が的確になされるよう情報の提供に努めるものとする。

7  議会は、前6項の規定に関する実効性を高める方策として、全議員の出席のもとに町民に対する議会報告会を少なくとも年1回開催して、議会の説明責任を果たすとともに、これらの事項に関して町民の意見を聴取して議会運営の改善を図るものとする。